断熱性の高さだけでは決まらない、心地よさとは?
コラム
断熱材の断熱性能の良さは一般的に「熱伝導率」で評価されていますが、
同じ「熱伝導率」の断熱材を同じ厚さで施工しても、使用する断熱材の種類によって室内の温度や
湿度による心地よさに大きく影響を及ぼすことが分かっています。
セルロースファイバーと高性能グラスウールでは同程度の熱伝導率ですが、
セルロースファイバーを施工した家の方が、住む人が感じる“空気”や“温度”など体感による快適性が
高いことが明らかになっています。
断熱性能が同じなのに、体感(心地よさ)に差がでるのはなぜでしょうか。
それは、“蓄熱”できる量に違いがあるからです。
蓄熱する熱量とは、熱を蓄えておける量であり、高いほどたくさん熱量をため込んでおくことができます。
そして、そのため込む量が多いほど、断熱材の内側と外側での熱の移動を穏やかにします。
セルロースファイバーとグラスウールの蓄熱量は約5倍ほどの差があり、蓄熱量の多いセルロース
ファイバーは冬の夜に暖房を切っても熱が逃げにくく、朝まで暖かいということになるのです。
ただし、夏季は長時間熱を受けてしまうとセルロースファイバーが蓄熱し、冷めにくくなってしまいま
すので、“遮熱”をしなければいけません。
対策としては遮熱シートを屋根に使用すれば、外部の太陽エネルギーを直接伝えず、断熱材に熱が
こもりすぎることがありませんので、熱の移動が穏やかなセルロースファイバーは室内まで熱を伝えません。
冷房を切っても冷気がすぐに外部に逃げることがありませんので、真夏でも快適に過ごすことができるのです。
蓄熱量の違いで起こる快適さは特に夏季に影響があり、室温に2℃前後の差があると言われています。
2℃というのは体感としては非常に大きく、半袖と長袖ほどの差になります。
また夏型結露による壁内の状態も、セルロースファイバーは調湿機能により躯体内の湿度が安定しており、グラスウール+可変シートの場合と比べても湿度をより低く保つことができるため、夏型結露による湿度環境の違いも大きく体感に差が出ることになります。
これらのことから、セルロースファイバーを使用することで、
高い蓄熱効果により室温が外部の温度に影響されにくくなりますので、冷暖房の効率を良くし、
夏は涼しく冬は暖かいという快適さを得ることができるのです。
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